「大人ひなまつり」トークショー&お茶会<伊勢崎銘仙と女たち>。私が伝えたかった美しさの背景

2025年3月1日(日)から9日(日)まで開催した
「伊勢崎銘仙展 & kibi-ru ACTION BAG SALE」

7日間開催した「大人ひなまつり」は、およそ150名の方々にお越しいただき、大盛況で幕を閉じました。
3月2日(日)に行った「トークショー&お茶会/伊勢崎銘仙と女たち」は19名の方がご参加。
モダンでカラフルな伊勢崎銘仙を眺めながら、高度な織りの技術や全盛期の様子、
織り子さんたちのライフヒストリーなど、銘仙の奥深い魅力を紹介しました。

金井 珠代氏(左)、堀 芳枝氏(右)

ゲストスピーカーは、伊勢崎銘仙プランナーの金井 珠代氏と、早稲田大学教授の堀 芳枝氏。
写真や資料を映し出しながら、およそ1時間のスペシャル対談。
参加者のみなさんはメモをとりながら真剣に耳を傾けていました。

飛び込み参加だった桜井李紗さんは、当日の感想をInstagramに投稿されています。
たいへんすばらしい内容だったため、ご本人に許可いただいてこちらに掲載します。
(写真はkibi-ru ACTION撮影のもの)


大人ひなまつり」に行きました。近くで伊勢崎銘仙のイベントがあると知り、銘仙を着て行きました。
銘仙のコレクション×古民家ギャラリー
この素晴らしい空間の中で、「伊勢崎銘仙と女たち」と題したトークイベントも。飛び込み参加しましたが、本当に参加して良かった!それくらい濃密なお話でした。

トークイベント参加者に振る舞われたケーキが本当可愛くて!!!
八重桜をあんこで表現していて、こんな美しいケーキ初めてでした。

イベント主催者のきびるアクションさんは、着物などのハギレでバッグを製作されている方で、ギャラリー内に展示・販売されているバッグはどれも本当に可愛かったです!私のコーデをめちゃくちゃ褒めてくださり、本当に嬉しかった〜!!
以下は長文なのでお時間あればどうぞ。銘仙好きには特に読んで欲しい!ファストファッションの問題や、ジェンダー学に関心がある人もぜひ!

トークイベントは、伊勢崎銘仙の復刻を手掛けた金井珠代さんと、早稲田大学 社会科学部 教授の堀芳枝さんによる銘仙の歴史〜製作工程の説明をはじめ、堀教授の専攻でもあるモノと経済の観点から伊勢崎銘仙を紐解くものでした。
金井さんによる伊勢崎銘仙の復刻プロジェクトの裏話も盛りだくさん。

銘仙は明治〜昭和にかけて大流行した日常着で、華やかさだけではなく安価で丈夫なことも流行を後押ししました。
伊勢崎銘仙は、複数ある銘仙の産地の中でも特に高度な技術「併用絣(へいようがすり)」と呼ばれる技法により非常に複雑な色柄を得意としていました。(本当に絵画みたいなもの)

基本的に機織りは農家が農閑期に副業として行うものが多く、伊勢崎銘仙も同様でした。そのため、「女は機織りができて当たり前」という考え方が根付いており、非常に高度な技術にも関わらず「生活していくために誰もができて当たり前のこと」として扱われ、女性たち自身もそう思っていました。
故に、女性もその技術も大量生産の安価な商品を作る歯車として働くことになります。
これは現代におけるファストファッションの縫製工場で働く東南アジアを中心とした女性たちと非常に重なるところがあると、堀教授は分析しています。

女性だから生まれ持って器用なのではない。
この点を堀教授は何度か強調されていました。
女性たちは幼い頃から祖母・母の技術を見て学び、10代にもなると立派な働き手として研鑽を積みます。当時は絶対的だった家父長制の中で多くの我慢を強いられ、コツコツと働く。その我慢と努力の結果として生まれたものが技術であり、決して当たり前にできることではありません。

いくら働いても工賃は全て親や義実家に納めます。なんで?と思いますが、「家を潰さないためにいま頑張れば報われる」という家父長制に基づく考えが浸透していたからです。
私の祖母も幼い頃から旅館に奉公に出ており同じ話をしていました。給料日になるとすでに自分の親がお賃金を持って行ってしまってたと、昔教えてくれました。
(祖母は「本当に腹立つよ」とブチギレてましたが)

こうして女性の労働力と技術に依存しきった銘仙の生産体制は、高度経済成長期を迎えると崩壊します。パートにでて働く方が自分の時間を持てるし賃金も高いため、多くの人が機織りをやめたのです。技術も軽視されていたために継承も正しく行われず、必要な道具も消失していくことになりました。

私はなるべくファストファッションは買わないようにここ数年気にかけていたのですが、結局自分が好んで着ている銘仙もまた当時の女性への搾取の元で作られていたんだと知り衝撃でした。だからこそ、今残っているアンティークやビンテージ銘仙を大事にしようと心から思います。

リンク:桜井李紗さんのインスタグラム

そして、私たちはこれからどうするか

銘仙の華やかな模様の裏には、多くの女性たちの努力と忍耐がありました。彼女たちの物語を後世に伝えることは、女性が自らの意思で生きられる社会を築くための重要な教訓となると考えています。この大人ひなまつりが、女性の未来について考えるきっかけになれば幸いです。

[大人ひなまつり]
伊勢崎銘仙展
kibi-ru ACTION BAG SALE

2025年3月1日(土)~3月9日(日)
11:00~16:00 観覧無料
場所 柿ノ木ノ下
(埼玉県所沢市寿町22-2)
所沢駅西口から徒歩10分


商品についてのご質問、修理のご依頼、また、委託販売、出店、イベント企画についてのお問い合わせは、こちらまでご連絡ください。
▶︎https://kibiru-action.net/contact/
バッグのリメイク、オーダーについては、こちらまでご連絡ください。
▶︎https://kibiru-action.net/product/chumon/

営業時間=平日 10:00〜17:00

古物商許可
第431090036396号 埼玉県公安委員会 kibi-ru ACTION

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