世界に一枚の「卒業記念」を。特別支援学校の中学生が挑んだコースターづくり

冷たい風が吹き抜ける12月。昨年に引き続き、埼玉県立和光南特別支援学校にて「特別授業」の講師を務めさせていただきました。

今回のテーマは「仕事&アート体験」。普段は高等部の先輩たちが取り組んでいるコースターづくりに、中学部3年生の皆さんが挑戦します。

ただの「工作」ではなく、実際に販売され、誰かの手に渡る「仕事」としてのものづくり。世界各地の布に触れ、集中して取り組む生徒たちの姿に、私も心が躍り、活動の原動力を再確認する一日となりました。

目次

自分で選び、自分で表現することを大切に

授業は、世界各地の民族衣装や布の説明からスタートしました。この布がどこから来て、どんなお客様が手に取ってくださるのか。リアルな販売風景を写真で伝えると、生徒さんたちのまなざしが熱くなるのを感じました。

今回のミッションは、自分たちで作ったコースターを「卒業記念品」として自分自身に贈ること。

27名の生徒さんたちが、まずは布を選ぶところから始めます。色とりどりの端切れを前に、じっくりと選ぶ時間。この「自分で選ぶ」という場面をなるべく多く設けることが、私が大切にしている工夫のひとつです。

生徒さんたちのアンケートから


先生方のサポートもあり、全員が完成。授業後のアンケートでは、半分以上の生徒さんが「またやりたい」と答えてくれました。

「布を並べるところと布を貼るところをまたやりたいです。楽しかったです。」

この声が代表するように、布を選ぶ工程や、それを形にしていく瞬間の楽しさが多く綴られていました。「きれいに、ていねいにつくれば、使う人が喜ぶ」という私の言葉を、生徒さんたちは素直に受け止め、取り組んでくれました。

先生方から届いた言葉

後日、仕上げを終えたコースターをお届けした際、担任の先生方からメッセージをいただきました。

「本日、コースターが届きました。とてもきれいな仕上がりで、担任一同大変喜んでおりました。ひとつひとつデザインが異なり、本当に世界に一枚だけのコースターだと感じました。」

授業当日の様子についても、以下のようなお声をいただいています。

「子どもたちが生き生きとした表情で作品を一生懸命に作っていたのが印象的でした。」
「最初にコースターを見せた時に、作ってみたいと目を輝かせている生徒が多かったです。自分にできるだろうかと思った生徒もいたかと思うが、布を選んで並べる工程は簡単であっという間にできてしまい達成感やもっとやりたいという気持ちに繋がったように思います。」
「想定していたよりも、子供達が自分の力で進めることができていてよかったです。ありがとうございま
した。」

生き生きとした表情で私の話を聞いていたこと。そして、自分の力で工程を進めていく姿。先生方の視点からも、この活動の意義を教えていただきました。

誰もが「表現者」になれる世界へ

最近では、障がいのある方が描くアートが、デザイナーの手によってブラッシュアップされ、特別なプロダクトになる機会が増えました。それはとても喜ばしい世界だと思っています。

一方で、私が進めるコースターは、重度の障がいがある方でも、支援員さんと一緒にマイペースで進めることができます。できあがった表現がデフォルメされることなく、ほぼそのままの形で商品化されるのが特徴です。

作家でもアーティストでもない、誰もが自分の表現を形にできる。
「みんなが作家になれる」

この取り組みを、全国の特別支援学校で取り入れてもらいたい。
自分たちの手で作った「卒業記念品」が、彼らの一歩を、少しでも軽やかに後押ししてくれることを願っています。

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