福祉の創作現場や作品にふれる見学会&交流会。40年以上アート活動に取り組む「工房YUAI」(東京青梅)

2024年10月18日、東京都青梅市にある「社会福祉法人友愛学園 友愛学園成人部」へ見学ツアー&ディスカッションを企画、開催しました。

友愛学園成人部

友愛学園成人部は、約6 0名が在籍する障害者支援施設。その中に、心の充足を得る活動として、表現する場の工房YUAIのアトリエがあります。4 0年前から芸術活動に取り組み、陶磁、和紙、刺繍、木片、草木染、藍染、織物、布地、絵画など、斬新な作品が溢れています。
https://plus.yuaigakuen.or.jp/

工房YUAIの外観

今回は、私とつながりがあるグラフィックデザイナー、インテリアデザイナー、建築デザイナー、ハンドメイド作家、特別支援学校教員など、10名の方々と現地に向かいました。

工房YUAIとの出会いは、フラットスタンド(東京府中)での展示会。そこで見た刺繍作品に心を奪われ、いつかアトリエを見学させてほしいとお願いし、後日、快く迎えてくださいました。
はじめて訪れたときは、つくり手の「自由で、無欲で、誰にも媚びない、斬新な感性」に打ちのめされ、クリエイターの端くれとして、凹むほどショックを受けました。と同時に、これはもっと人の目に触れるべき!という願望も生まれました。

2023年10月 フラットスタンド(東京都府中市)での展示会

施設の担当者Oさんとは、何度かお話しする機会がありました。
「私はこの刺繍をバッグにして販売したい」と申し出ると、OさんはYESでもNOでもない様子。作者と社会の接点をつくりたいという目的は同じでしたが、その手段は「販売」しかないのか、という問題にぶつかりました。
私は答えがみつからず「だったら、クリエイターを集めて意見交換をしてみてはどうか。なにかヒントがあるかも」と本企画の開催となりました。

アトリエ見学、ディスカッションタイム、フリータイムと、3部構成でおよそ3時間30分。予測通り、時間が足りず(笑)、社会との接点を探るまでには至りませんでしたが、さまざまな感想、意見交換ができ、濃厚で意義のある時間が過ごせました。

工房YUAIの特徴のひとつとして、支援員の方に芸術家が多いことがあげられます。多彩な作品の裏に、支援員の熱心できめ細かいサポートがあります。
「担当するスタッフが替わることで、新しい表現が生み出されることがある」「おもしろいことが日々生まれる。働いているというより遊びに来ている感覚」とは、支援員の言葉。工房YUAIは、利用者と支援員がともに創造力をふるう「共同アトリエ」のような場所です。

以下、参加者の感想(一部)。

どのように一人一人の利用者さんの才能を引き出しているのかを見ることができ、焦らずに時間をかけながら丁寧に行っていることを直に感じました。企業からの受注を一切受けずに、アートだけに振り切られたことも印象的でした。

「楽しい」と思って作業をしてくれると、さらなる能力の発揮に繋がります。友愛さんのクリエイティブな活動は、まさにその「楽しい」を突き動かしてくれる行為なのではと感じました。

「共同アトリエ」という言葉がぴったりな場所だと思いました。スタッフさんの感性の高さと根気強さがないと、この域に達しないのだろうなぁとしみじみ感動しました。

利用者さんの日々の活動が、アーティストとしての創作活動になっていて、支援員の方々が絶妙なバランス、距離感で接していたのが印象的でした。とにかく楽しんでいる、エネルギッシュな創作意欲を感じました。

参加者のひとり、グラフィックデザイナーの仲西さんの感想。仲西さんは、福祉アートを活用した商品開発に取り組むブランド「NODD(ノッド)」を運営しています。
https://www.nodd.jp/

「ぼくらが知る福祉の創作現場には、支援員さんの中に芸術家はほとんどいません。福祉アートは、専門家ではない視点から発掘するものだと思っていましたが、それは思い込みでした。アーティストが支援する創作スタイルもあるのだと目から鱗の心境です。
ぼくらには、さまざまなネットワークがあります。手を取り合うことで、新たな可能性が生まれる。ぜひ、いっしょにやりましょう」

施設の担当者Oさんの言葉は、いまも心に強く残っています。

「この活動を通して、私たちはたくさんの方から、すごいですね、とか、すばらしいですね、とかお言葉をいただきます。でも、いつもモヤモヤした気分が残るんです。賞賛を受けるべきは、つくった本人ですから。僕らじゃない。
今日、作者(利用者)がつくったエプロンをみなさんがつけてくれて、すごいねすごいねって本人に声をかけているシーンにとても感動しました。この場面に出会えたことにとても感謝しています」

参加者からも「その賞賛から受けた心の震えは、必ずその方の力になると思います。簡単なことではないと思いますが、利用者さんが直接人と繋がることができるような機会があるといいなと感じました」とあり、私もまったく同じ気持ちです。

福祉にまつわる「モヤモヤ」は、私自身にもたくさんあるのですが、そのモヤモヤが福祉の在り方を考えるきっかけとなり、答えを導き出すヒントになるように思います。

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営業時間=平日 10:00〜17:00

古物商許可
第431090036396号 埼玉県公安委員会 kibi-ru ACTION

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